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ビルメンの求人でよく見かけるのが

「今年出来たばかりの新しいビルで働く仲間を募集しています!」

「新しい建物で気分一新、新しい生活を始めませんか!?」

「綺麗な建物で、気持ちよく働けます!」

「受注急増!急成長中につき、新しい仲間を募集します!」

いわゆる新築物件・新規案件の増員求人です。

一見「ボロいビルで働くより新しいところのほうが綺麗だし・・・」と魅力的な求人に思いますが、内情を知っている人間からすれば地雷中の地雷です。

新築=トラブルが少ないは大間違い

まず理解すべきがここです。

新築=新品ばかり、故障やトラブルが少ないというのは大間違いで、むしろ故障は多いのです。

ビルメンの基礎知識として、バスタブ曲線というのがあります。
横軸を時間、縦軸を故障率で取った、信頼性のグラフです。
左側は新築の時期、右側に行くほど老朽化が進んだ状態になります。
「バスタブ曲線」と言われるとおり、両側が高く真ん中が低くなります。

つまり初期段階においては故障率は高いのです。

製品の製造欠陥、施工ミス、設定ミスetc…

こういった施工段階に起因するトラブルが、おおよそ1年間は怒涛のラッシュで続きます。

家電とかも1年間はメーカー保証が付きますよね?
あれも1年間は壊れやすい時期だからなのです。

準備期間が短い

昨今、建築業界の人手不足というニュースをよく見ますが、ビルメンにも無関係な話とは言えなくなっています。

そもそも新築物件でビルメンがどのように仕事を始めるかと言うと

  1. 施工段階で契約。意匠や設計図を元に予算や人員が算出される
  2. 竣工検査が始まるくらいの段階で現場での調査や準備を始める
  3. 建物が施工会社から施主に引き渡された段階から本格的に稼動

大雑把に書くとこんな感じです。

実際に現場を見ないことには入手できない情報が多いのですが、最近は工期がカツカツで予定が遅れることは日常茶飯事。ビルメン会社が動けるタイミングが遅くなっても、施主は滅多なことでは引渡し予定日やオープンの日程を変えません。

大体、現場調査が終わらないうちにオープンの日を迎えて、現場調査と実業務を同時進行で行っていく事になります。

当然ですが超ハードスケジュールです。

テナント入居の時期は非常にハード

テナントの多いビルだと新築=入居テナントが一気に集中するということになります。

テナント入居に際してビルメン側もメーター指針の調査や各種ブレーカー・バルブ類の開放操作など何かと仕事が多いのです。

それが一斉に重なるわけですから、仕事が山のように増えるのは容易にご想像いただけるかと思います。

ちなみに、このメーターというのがビルメンでも嫌われる仕事の1つでして。

皆様の家でも電気料金や水道料金の請求が来るかと思いますが、数字1つの読み間違いが当然金額の間違いに直結します。
ビルメンが扱うものの中でも「お金」に直結するので、扱いが非常に面倒なのです。

一般に現代のビルはメーターを作業員が直接読むのではなく、自動検針装置という遠隔システムを使用します。
この検針装置の数字を打ち間違えた、設定をミスした、遠隔用の配線に結線ミスがあった・・・これで何度トラブルを経験した事か。
テナント側も「お金」の問題でかなり御立腹ですから、テナントからもビルオーナーからも容赦なく叱責されます。

と、いうわけで一見綺麗な新築物件ですが

「準備期間が短く、まともに準備が終わらないまま、故障が多くて仕事も多い時期に突入して、それが最低1年は続く」

と考えれば如何に無茶な仕事かお分かり頂けるかと。