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冬の時期にビルメンで避けて通れない「湿度」の問題。

多くのビルでは湿度不足・乾燥に悩んでいるのではないでしょうか。

何故、湿度不足が起きやすいのか、設備的な面から解説していきます。

①加湿器は温風吹出が前提の設計

エアーハンドリングユニット、またはパッケージ・ファンコイル(以下まとめて空調機)に内蔵されている加湿器を使う場合、基本的に暖房状態、即ち温風が吹き出ることを前提として加湿装置は設計されています。

逆に「低温~送風」の状態では加湿装置は本来の能力を満たすことが出来ません。

スチーム式加湿の場合はサプライの温度が低ければ低いほど空気中で凝固してしまいます。

スプレー式の場合もサプライの温度が低いと上手く空気中で気化せずに、そのまま滴下してしまいます。

気化式は風速が同じなら、当然温度によって気化する量が変化します。

どの方式でも暖房状態にならない限り加湿装置本来の能力は見込めません。

②近年のビルは暖房になりにくい

現代のビル、特にオフィスビルは高顕熱環境にあると言われます。

複合機、社内サーバー、数多くの業務用PC・・・

いわゆる電熱の負荷が非常に多いのです。

仮に換気により失われる熱量と室内熱負荷が釣りあってしまう、または熱負荷の方が多いというシチュエーションが起きてしまうと、空調機の運転状態は「冷房~送風」の状態になります。
暖める必要がないどころか、逆に冷やさなくてはいけないくらいの状態なのです。

暖房になりにくいということは、当然空調機の吹出温度は上がらない。

吹出温度上がらない
→加湿器が本来の性能を満たせない
→設計どおりの加湿が行われない
→湿度不足

なお、空調機によっては暖房モードに切り替わってないとそもそも加湿作動をインターロックで止めてしまったり、サーミスタで一定温度以上の吹出にならないと作動させないものもあります。

この場合は本来の性能を満たせない以前に加湿装置が動かない状態なので、当然潤うわけがありませんね。

③対策

インタロックで停止している場合、コントローラ側の設定で冷風でも強引に加湿を作動させるという禁じ手もありますが、オススメしません。

AHUの場合ダクト内で結露が発生して漏水事故になったり、PAC・FCUの場合もドレンパンから水が溢れたりします。

一番いいのは別置で居室内に気化式の加湿器を用意することです。
(オーナーやテナントとの調整は生じますが)

高顕熱環境で湿度すなわち潜熱不足になっている環境なのですから、余っている顕熱を「気化熱」として奪って湿度に変換すればいいのです。

仮に冷房が作動している場合、気化熱により冷房の必要エネルギー量も減りますので一石二鳥であると言えます。

 

この現象は特に高顕熱環境が想定されていなかった古い設計のビルにおいて多く発生しているようです。

仮に湿度不足への対策を求められた場合は、加湿装置だけでなく空調機そのものの運転状態を確認してみることをオススメします。